2014年10月14日火曜日

FX取引で資金洗浄ができるという仕組み

やや昔の話になるが、FXを利用したマネーローンダリングが摘発されていた。それを報道した記事は下記の通り。

北朝鮮、FXで資金洗浄 日本の不正口座操作 大阪府警が摘発
2014.8.8 08:01
 外国為替証拠金取引(FX)をめぐる金融商品取引法違反容疑で大阪府警に逮捕された静岡県の貿易会社代表(41)の顧客向け口座が、北朝鮮の兵器密輸の資金洗浄(マネーロンダリング)に使われていた疑いがあることが7日、公安関係者への取材で分かった。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記直轄の工作機関が運用していたとみられる。国際社会が懸念を深める北朝鮮の資金洗浄の一端が浮かび上がった。
 府警によると、貿易会社代表は、中朝国境付近の中国・延吉を実際の拠点として活動。先月下旬、無登録で日本国内の顧客の資金をFXで運用した疑いで逮捕された。日本の金融機関で開設した顧客名義の口座は計数十にのぼり、取引用IDとパスワードを預かって取引していたという。
 公安関係者によると、こうした取引は、中国浙江省のソフト開発企業の技術者らが、貿易会社代表が日本国内の知人に預けたパソコンを遠隔操作して実行していた。この企業は金第1書記直轄の工作機関「偵察総局」のダミー企業で、パソコンの操作にも偵察総局が資金洗浄用に開発したソフトを使っていたとされる。
 資金洗浄のために、偵察総局は香港に別のダミー企業も設立。香港のこの企業が、兵器密輸などで得たとみられる資金を使って、香港のFX市場で売買を行い、それと同時に浙江省のダミー企業が同額で逆の売買を実施、香港のダミー企業が損失を出すと、その分が運用益として日本の顧客口座に入るといった仕組みをつくっていたとみられる。さらに、中国国内の一般の口座などを使った運用も組み合わせ、資金洗浄を完成させていたとされる。
 北朝鮮との武器取引は国連の制裁対象で、資金の流れに対する欧米の監視も強い。北朝鮮は中東やアフリカ諸国、テロ組織との取引で得た資金を、英独や中国、マカオなどいくつもの口座に小分けし、管理・運用しているとされる。日本の個人投資家の口座はマークされる可能性が低く、洗浄ルートの一つに選ばれたようだ。
 貿易会社代表は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関連の商工人にもFXへの投資を募っており、今回の仕組みは、北朝鮮への送金ルートになっていた可能性もあるという。府警はFXでの運用に使われたパソコンや書類を押収、運用実態の解明を急いでいる。



記者が警察発表を右から左へ流して書いているせいか、このニュースは逮捕された日本人を中心にしている。読んでみてもなにをどうしているのかよくわからないので、この記事のマネーローンダリングの手口を妄想してみた。

Q1.マネーローンダリングできれいにしたいお金はどれか。
A1.北朝鮮の工作機関である「偵察総局」が武器輸出で稼いで香港に設立したフロント企業にプールしたお金。

Q2. どうやって金をきれいに(表立って使えるように)したのか
A2.FX取引を利用して香港のフロント企業(以下香港F企業)にたまった「汚い金」を、FXで儲けた「きれいな金」に変換した。

Q3.具体的な手法は
A3.偵察総局が中国に設立したフロント企業(以下中国F企業)に日本でFX口座を開設させ、そこでFX取引を行う。同時に香港F企業に逆のポジションを取らせる。

Q4.FXのポジションを取るとどうなる。
A4.
中国F企業のポジションで利益が出たらその金はFXで得たきれいな金なので自由に送金できる。その際に香港F企業で損失が出るがそれは汚い金で補填。
中国F企業のポジションで損失が出たら、香港F企業側で利益(きれいな金)が出ているので、正々堂々とそれを日本に送金し穴埋め。
中国F企業のポジションで利益が出るまで続けて香港F企業は反対のポジションを取り続ける。

(ポイント)

* FXでなくても価格が変動する商品でロング・ショート両方のポジションを取ることができればよい。
* 金融商品に限定せず、一方の利益が一方の損失になるゼロサムのギャンブルを中国F企業と香港F企業で行い、香港F企業が負け続けてもいい。
* キャピタルゲインゲイン課税があっても資金がきれいになればよい人向けのやり方。
* 脱税目的で資金源を合法化したい人には向いていない。脱税目的なら「キャピタルゲインへの税率」が「脱税したい利益の税率」より小さい場合のみ合理的。

(課題)

* ついてないと香港F企業側で利益が出ると同時に中国F企業側に損失が発生し、いつまでたっても香港F企業にプールした利益をきれいにできない。
* 利益が出た側に発生する税金をどうやって最小化するか。中国F企業が利益を出す状況ならば、資金をきれいにするという当初の目的が達成されるので税金もその費用と見なせば我慢できるが、香港F企業側で利益が発生した場合は何の効果も得られないまま納税が必要になる。


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