2014年4月14日月曜日

One Fifth Avenue by Candace Bushnell----Co-opの特徴

Sex and the Cityの原作者で有名なCandace Bushnell(カンディス?・ブッシュネル)の5冊目の本がOne Fifth Avenueだ。ニューヨークを舞台にしたフィクション。とはいってもこの人の本はたいがいニューヨークが舞台。

あらすじ
マンハッタンの五番街の最南端、ワシントンスクエアにぶつかるところにあるOne Fifth Avenueという集合住宅の住人達(大金持ちの未亡人、大物ゴシップコラムニストとその甥のアカデミー賞脚本家とそのどうしようもないガールフレンド、売れない作家とのその妻の雑誌編集者、ヘッジファンドマネージャーと元弁護士の妻、女優etc)とその周辺にいる人たち(よくわからないけれど金持ちの周辺をうろうろして生活をしている人)が、ある人はメンツのため、別の人はお金のため、また別の人は嫉妬から策略を巡らし、いがみ合い、協力する話。

どの程度現実に即しているのかはわからないけど実際にOne Fifth Avenueという住宅はあるし、マンハッタン生活(の上澄み)の思考を知ることができるだろう。


住宅としてのOne Fifth Avenueの特徴

この物語はロバート・アルトマンのShort Cutsみたいな作りで特定の一人の人物が主人公というわけではない。いわゆるグランドホテル形式。というよりも主人公はOne Fifth Avenueという建物といっていい。で、そのOne Fifth Avenueはただ金を持っているだけでは買うことができない、つまり住むことができない。例えば、住人の一人が経済的な事情から住んでいる部屋の売却を希望したとする。不動産仲介業者がその部屋を買いたいというお金持ちを連れてくるが、売り手と買い手が合意しただけではダメで、One Fifth Avenueの理事会から、住むにふさわしい人間であるという承認を得なければいけない。

なぜ理事会に自由な経済取引を止める権利があるのかというと、住人たちは実際には部屋の所有権を持っていないからだ。

Co-op (Housing Cooperative)とは

この話の中でOne Fifth Avenueは、一般にCo-opあるいはHousing Cooperativeと呼ばれる法人が所有し運営しているという設定になっている。Co-opは日本ではあまりなじみがないが英語のWikipediaに詳しく説明がある。

Co-opは住宅を保有するために設立される法人である。法人の持分(株式)を購入することにより出資者(株主)はその法人のメンバーとなり、建物の特定の区画を使用する権利を与えられる(不動産自体の所有権が与えられるわけではない)。この点が普通にマンションの一室を買うのと異なる。この本の中ではCo-opの部屋のことをsuite、Apartmentの部屋のことをcondominiumと呼んでいる。もう一つ重要な点は出資者が選んだ代表団が住人を選ぶことができる。その他のルールもCo-opの定款で自由に決めることができる様子。
本の中で出てきたのはこう
*購入の際に総額の半分以上を支払わなければならない。
*維持費を支払えなくなったら強制退去。


日本のタワーマンションと同じでやっぱりマンハッタンでも建物内格差があるようで、元は召使部屋だった部屋を買った登場人物の言葉が印象深いので引用
After years and years of pursuing th american dream, of aspirations and university educations and hard, hard work, all you got for your efforts these days were servants' quarters in Manhattan. And being told you were lucky to have them.


ちなみに日本にも「コーポラティブハウス」という仕組みがあるようだが、これは似て非なるもの。住民になる人からお金を集めて、組合を作って土地を購入し建物を建ててというところまでは似ているけれど最終的に土地建物の所有権は各居住者に割り当てられるのでCo-opほどの権限はない(と思う)。

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