2014年6月30日月曜日

Drone Dogfight: ドローン(無人飛行機)の空中戦

アメリカ国内でDrone(無人飛行機)の戦闘が激化しているという話。実際の戦闘ではなくて商業用Droneの市場獲得の。以下は6月27日付のwsjの要約。

記事によればアメリカでDroneを製造しているのは2つのまったくバックグラウンドの異なる勢力。 一つは旧来の防衛産業でもう一つはハイテク新興企業だ。

防衛産業側は、ボーイングノースロップグラマンで、新興企業側はPrecisionHawk Inc.SZ DJI Technology Co.など。

防衛産業側の企業は米国政府やその他の国の軍事用に高性能かつ高出力のDroneを販売してきた。ものによってはボーイング747と同じ翼長で値段は1億ドル近い。

他方、新興産業側は映画撮影、農作物の監視などのための軽量かつ安価なDroneを製造してきた。一部の製品はウォルマートで販売している。


両社は顧客が全く異なりこれまで仲良く共存してきたのだが、Drone市場の拡大と(成立が遅れている)無人航空機規制への態度により対立する場面が多くなっている。

どうい場面で対立するのか。現在まで大型Droneの主用途は軍事用で、小型のものは主にホビー用だった。それぞれ防衛産業と新興企業が、経済的な理由と技術的な理由ですみわけしていたのだが、今後急速に拡大が予想される商業用Droneの分野はどちらの勢力も狙っている。

現在、無人飛行機の商業利用には連邦航空局(FAA)の認可が必要なのだが、Droneを使っている映画関係者や農家は認可を得ておらず、FAAも今のところ厳格にルールを適用していない。しかし、FAAは今年の後半に小型Droneに対する規制の導入を計画しており、その内容によって防衛産業側と新興企業側のどちらが生き残るのか決まりかねない。

新興企業側は、厳しい規制で参入障壁を作るため、防衛産業がロビー活動を行っていると批判している。

防衛産業側は、規制はDroneの安全確保が目的であり参入障壁とかいう話は都市伝説だと批判を一蹴している。

ただし、1980年代にテクノロジー産業で起きた出来事を振り返れば、防衛産業側が新興企業をあらゆる方法で撃退しようと考えるのも道理。現在のDroneを巡る環境において、大手防衛産業は大型メインフレームメーカーで、新興企業がPCメーカーにあたる、とクリス・アンダーソンは述べている。



このあいだまでクリス・アンダーソンは3Dプリンタと言ってたような気がするけど、今は3D Roboticsという会社を作ってDroneに凝っているようだ。

2014年6月25日水曜日

アドテクノロジーって儲かるの?

FreakOutのことを調べてから、アド(広告)トレーディングのことが気になっていろいろ見ていたら、7月2日にまたそれっぽいのが上場することに気が付いた。

それっぽいのというのは株式会社VOYAGE GROUP3688)。


上場目論見書によれば、VOYAGEはもともとは株式会社アクシブドットコムという名前で、懸賞情報サイトや価格比較サイトを運営していたそうだが、オンラインアンケートや懸賞のポイント交換サイト、ネット広告など子会社を作っていろいろな事業を始め、現在では連結子会社19社からなるネットであれこれする企業集団になっている。

利益変動要因を把握しにくいコングロマリット業態のVOYAGE本体には興味がわかないが、その子会社に目を疑う高利益の会社があった。

その会社というのはグループの中でアドテクノロジー事業に分類されている「株式会社adingo」と「株式会社Zucks」の2社のこと。

どれくらいすごいのかというと2013年9月期のROEがadingoが47%でZucksが140%くらい。(※簡便計算)

これではわかりにくいので現在の上場企業でいうと、47%というのは日本の全上場企業中24位にあたり、リブセンスやカカクコムといった高収益企業を上回る。

また147%だと、全上場企業中3位にあたり、ガンホーよりもROEが高い。

なんでこんなに良いんだろう。財務情報は1期分(2013年9月期)しかなく詳細も不明だが考えてみた。

株式会社adingo

株式会社adingoは、新聞社のサイトから個人運営のサイトまで、広告媒体となるメディアの収益を最大化するためのツールであるSupply Side Platform(SSP)を、「Fluct」の商標の下で運営している。英語サイトの方では「日本一のSSP企業」と称しているが、日本語サイトの方ではそんな表現は見られないので、現在は日本一ではないのかもしれない。ただし日本上位のSSP業者であることは間違いないようだ。

adingoのROEを分解するとROAが12%(営業利益が不明なので経常利益で代用)、レバレッジが6.7倍になる。ROAは良い方だが、上場企業上位100位には入らない。つまりレバレッジを高めることによって高ROEを達成している。


株式会社Zucks

株式会社Zucksは、スマートフォン向けに「Zucks Ad Network」及び「Zucks Affiliate」というモバイル広告プラットフォームを運営している。なんだかぴんとこないがどうやら、広告の売り手(メディア)と買い手(広告主、メーカーとか)をマッチングする「市場」を運営しているようだ。

同様にROEを分解すると、ROAは34%と高い上に、レバレッジも6.8倍。この両方できわめて高いROEに結びついている。

(比較対象)FreakOut

FreakOutの事業はDemand Side Platform開発ということで違いはあるが、 アドテクノロジーの会社ということなので比較してみたい。2013年9月期はよくわからない子会社の損失で利益が悪化しているので2012年9月期と比べる。その期のROEは15.2%(上の2社と揃えて簡便計算)。ROAは23.1%でレバレッジは1.4倍。ROA自体はadingoより高くZucksより低い位置で、レバレッジが低いためにROEではadingoにも負けている。

さらにadingoとZucksのROAを分解するとマージン(売上高経常利益率)はFreakOutの半分以下になっており、adingoとZucksはFreakOutと比べて競争力が低いサービスを提供しているように思われる。それを資本回転率の高さで補っている状態。

adingoとZucksのROEの高さは
  1. 負債比率が高くても問題ない
  2. 資産が無くても売上が上がる(つまり労働集約?)
という特性により成立している。

しかしこれが今後も続くのか。ちょっと危うげ。

レバレッジが高くて高ROEというと上場を延期しているHFTのVirtu Financial, Inc.と類似している。ああいうフロントランニング的マーケットメーカー的なビジネスモデルなら負債依存度が高くてもよいようにも思えるがアドテクノロジー業界とはそんなものなのだろうか。

2014年6月19日木曜日

HFTが儲かる仕組み~Haim Bodekの主張する説

Haim BodekはUBSやゴールドマンで、主にオプション市場でのアルゴリズム取引を行っていた人物で、その後独立してTrading Machines LLCというHFTオプション取引会社を始めたのだが、他のHFT業者と取引所が結託してイカサマをしていたせいで儲からなくなり、会社を閉じたという人物だ。Scott PattersonのThe Dark Poolsにその辺の経緯が詳述されている。

さて、そのBodekによるHFT業者に対する恨み節を並べたThe Problem of HFTを読んだ。

Flash Boysと違って結構アメリカの証券法制や独自の発注方式についての前提知識が必要だったので、けっこうわからないところだらけだったけれど、いろいろ解釈したところ彼の主張すポイントは以下の通り。

1.特別な注文方法の存在

  • HFTが行っている最大の不正は"Queue Jumping"、つまり価格が同じなら先に出した注文から約定する時間優先原則を踏みにじっていること。
  • なぜそんなことができるのかというと"Hide and Light"という注文方法のおかげ。
  • Hide and Lightが何かを説明するためには"Locked Market"の禁止について理解が必要。
2."Locked Market"とは
  • Locked Marketというのは、一つの銘柄について最良買気配と最良売気配が同じ値段のまま約定されない状態のこと。取引所が一つなら当然に同じ値段の売買は約定されてしまうので、こういった状態は発生しないが、いくつもある場合は可能。
  • そして2007年に施行されたReg NMS Rule 610によりLocked Marketは禁止(違法と)された。
3.(通常の)指値注文の取り扱い
  • 仮にGMのNBBOが34.50/34.60だったとする。この時に個人投資家がDirectEdgeのみで執行という条件を付けて34.50の指値売り注文を出したとする。
  • その場合、 個人投資家のDirectEdge限定の売り注文はNBBOの買い気配と同じ値段になり"Locked Market"になってしまう。
  • しかし法律で"Locked Market"は禁じられているのでDirectEdgeは34.50の売り注文をSlideして指値34.60の売り注文という形にしてNBBOの気配に表示される。
  • そして、どこかから売り注文がやってきてNBBOの34.50の買い注文が消えて、最良気配が34.49以下に下がると、DirectEdge限定の34.50の売り注文は34.50に指値を映してNBBOに表示される。
4."Hide and Light"による注文
  • 同じ状況で、通常の指値売り注文の代わりに、"Hide and Light"で34.50の指値売り注文を出すとどうなるか。
  •  どんな注文形式であってもLocked Marketはあってはならないことになっている
  • そこで、DirectEdgeはこの注文を「非表示」にしてしまいNBBOに表示されないようにする。
  • 通常の注文のように値段を最良売り気配にSlideすることもない。指値は34.50のまま隠す。
  • そして、最良買気配が売り崩されたら"Light"、「表示」してNBBOに反映される。
5.Hide and Lightの効果とは
  • 指値を動かすかあるいは非表示にするかで何が違ってくるのか。
  • さっきと同じNBBOが34.50/34.60の状況を想定する。
  • ここで個人投資家が「通常の」指値売り注文をDirectEdgeでだけ執行を条件にして34.50で発注する。
  • その直後にHFTが"Hide and Light"による指値売り注文をDirectEdge限定では同じく34.50で発注する。
  • 前述のとおり、個人投資家の指値売り注文はいったん34.60へSlideされる。
  • かたやHFTの指値売り注文は指値を動かさずに34.50のまま「非表示」にされる。
  • 先ほどと同様に第三者の売り注文が入りNBBOの34.50の買い注文がすべて約定する。
  • するとHFTの34.50の売り注文が表示され、個人投資家の売り注文も34.50へSlideされる。
  • そしてポイントは、先に発注したはずの個人投資家の売り注文は、後から発注したHFTの売り注文に劣後するということ。
  • おそらくいったん指値をSlideしてその後もとに戻すことに関係しているのだろうが、そういう仕組みになっている。
  • なお、Hide and LightはBodekがこのような注文を説明するために作った言葉で、実際には同種の注文は市場によって呼び方が違う。

 HFTはこのHide and Lightを利用して売買を有利に行っており、取引所はこういう「裏ワザ」について積極的に情報公開していない(少なくともBodekがファンドを運営し ていたころは)。さらには取引所は、マーケティングのためこういうテクニックの存在をこっそりHFTに紹介して注文を引き込もうとしている。

取引所が分断された営利組織になり、取引獲得の競争に勝つため得意先(HFT)の要望に応え続けた結果がこの背景にあるという主張はマイケル・ルイスの主張と重なっている。

さて結構ややこしい話を極力簡潔に説明したつもりだが理解できただろうか。我ながら心もとないのでネットで調べたらwsjがBodekに取材してわかりやすい記事(漫画つき)を書いていた。Bodekの本を全部読むのは面倒だというひとはぜひこの漫画を見てほしい。



ところでこのブログ、2010年ころの記載だけれども各取引所のHide and Light に類する注文の仕組みが書かれている。たぶん書いた人はHFTの中の人か。

2014年6月16日月曜日

Re: 6094 FreakOut, Inc.

1. Basic Information

FreakOut, Inc. ("株式会社フリークアウト") is an online marketing agency and a developer of programmatic marketing tool. The company will be listed on Tokyo Stock Market Mothers Section on June 24.

FreakOut's business is not that different from traditional ad agencies, purchases "ad spots" from media (contents providers) and resale it to advertisers. And the company sometime acts as a subcontractor for other ad agencies. But the difference is that, as the clients’ agent, FreakOut does most of advertising process with algorithms.

2. Programmatic Marketing

Before analyzing FreakOut's structure or managements, you have to understand "programmatic marketing," or program (algorithm) based marketing deployed in online ad industry.

Advertisers and the ad agencies used to post ads "on a web site" where they bet their potential customers will visit. However, deploying programmatic marketing, advertisers can post ads "on a particular visitor's internet device (ex. PCs, smart phones.)" Advertisers can display ads to those who would likely have interest in advertisers’ product. In other words, advertisers are able to choose who should see their ads.

That new discretion for advertisers is materialized by technology called "real-time bidding" or RTB. In process of RTB, advertisers determine whether to post an ad on each visitor’s device based on the cookie, user-agent, OS, IP address etc. When they judge the visitor would be potential customer, they "bid" to purchase "ad spot" for that visitor. Then the ad of highest bidder will be shown on the visitor’s device. Of course whole judging and bidding process is executed by program and typically completed in 100 milliseconds.

Such programs used by advertisers are called "Demand Side Platform" or DSP. Advertisers give several instructions such as visitors' property, bidding price range, etc to DSP then DSP automatically finds qualified visitor, starts bidding and posts ads.

3. FreakOut's Business

FreakOut's mainstream business is to develop such DSP and to operate and maintain the platform for advertisers. Although it is confusing, FreakOut’s DSP is also named "FreakOut." In addition, FreakOut, Inc. supplies the DSP to online ad agencies which do not have enough skill to develop and maintain the platform.

As of February 2014, FreakOut serves for more than 4,000 clients including over 95 online ad agencies. Major clients are listed below.
  • GMO NIKKO Inc. ("GMO NIKKO株式会社"): Online ad agency.
  • s1o interactive. inc ("株式会社エスワンオーインタラクティブ"): Online ad agency and "ad trader".
  • K.K. DeAGOSITINI JAPAN. ("株式会社デアゴスティーニ・ジャパン") : Publisher of dictionary like magazine.
  • Lion Corporation ("ライオン株式会社") : Multi-line consumer toiletry products manufacturer. One of the leading consumer goods producers in Japan.
  • FROM SCRATCH Co., Ltd. ("株式会社フロムスクラッチ"): Consulting firm specialized in internet marketing.
  • NTT ADVERTISING, INC. ("株式会社エヌ・ティ・ティ・アド"): Multi-line advertising agency. Wholly owned subsidiary of the largest communication company in Japan.
  • Japan Airlines Co., Ltd. ("日本航空株式会社"): One of major airliner in Japan. The predecessor company filed chapter 11 in 2010.

4. Miscellaneous Findings

  • FreakOut is one of two major DSP developers in Japan. Another is MicroAd, Inc. ("株式会社マイクロアド"), a subsidiary of online ad pioneer Cyber Agent, Inc.
  • FreakOut's business name and products’ name ("FreakOut" and "MOTHER") are inspired by American musician Frank Zappa. He had led a band called "The Mothers of Invention" and released an album titled "Freak Out!" in 1966.
  • The head office is somehow flushy for Japanese standards. Too Silicon Valley-ish.
  • In the latest fiscal year ending September 2013, FreakOut suffered from huge loss at its subsidiary (yet to be specified). Net profit was pushed down by JPY 70 million to JPY 86 million in the latest fiscal year because of the loss occurred at subsidiary.

2014年6月9日月曜日

会社登記の番号000001の会社は

法人登記の番号は0000-00-000000と4桁、2桁、6桁で構成されている。

初めの4桁は設立時に登記した法務局のコード、次の2桁は法人の種類、残りの6桁が個々の法人に割り振られるシリアルナンバーになっている。

法務局のコードは喜屋武司法書士という人がまとめているのでこれを参考にすると便利。

法人の種類は
  • 01が株式会社
  • 02が有限会社
  • 03がその他の会社
  • 04は商号の予約用
  • 05が会社以外の組織、つまり社団法人とか組合とか
最後の6桁のシリアル番号は各法務局が、連続してかどうかわからないけどつけてる、識別番号。参考のために000001がつけられている会社を東京都内の一部の法務局について調べてみた。
  • 東京法務局(0100):エーザイ株式会社
  • 八王子支局(0101):株式会社トーテックシーム(東京都八王子市大和田町7-3-11)
  • 港出張所(0104):旭紙業株式会社(東京都港区高輪4-11-32)
  • 台東出張所(0105):東屋製菓株式会社(東京都台東区西浅草3-13-1)
  • 隅田出張所(0106):大庫株式会社(東京都江東区亀戸6-24-1-303)(閉鎖)
  • 品川出張所(0107):クージー・エアークラフト株式会社(岡山市南区福富東2-20-6、(旧)東京都品川区東品川2-3-14シティコープセンター)
  • 城南出張所(0108):株式会社アサヒエース(東京都大田区大森南4-10-19)
  • 世田谷出張所(0109):該当なし
  • 渋谷出張所(0110):株式会社アン(東京都渋谷区千駄ヶ谷3-61-3)(閉鎖)
  • 新宿出張所(0111):株式会社あい(東京都新宿区西新宿5-13-14)
登記が速い順のような気もするけれどあ行の会社が多いので五十音でシリアル番号を振っているのかもしれない。

実際の仕組みは未確認。

2014年6月4日水曜日

金持ち父さん、貧乏父さんの内容を手短にいうと

金が欲しかったので、マルチのバイブル金持ち(になりたい人)が読んでいるという金持ち父さん、貧乏父さんを読んだ。


著者のロバート・キヨサキが言わんとすることは以下の通り

  1. 自宅は買うな
  2. 投資用不動産を買え
  3. 株を買え
  4. 税金はあらゆる手段を使って避けろ
  5. セールスの勉強にはマルチ商法をやるといい
  6. フェニックスの不動産は最高だ
  7. テキサス人は最高だ
以上

2014年6月2日月曜日

物言う投資家とインサイダー取引

週末に有名なアクティビスト投資家がインサイダー取引に関わっている疑いでFBIとSECが調査中、という報道があった。

アクティビストがインサイダーというと村上ファンドとライブドアの話しを思い出すが、この話はちょっと違う。アクティビスト投資家がインサイダー情報を聞いちゃったのではなくて、アクティビストが自分の投資行動を事前に知り合いに伝えていた疑いがあるという内容。

記事のアクティビスト投資家とは、アップルに自社株買いを要求したことなどで有名なカール・アイカーン。


アイカーンが経営する投資持ち株会社のIcahn Enterprisesは2011年7月15日に、掃除用洗剤などを作っているCloroxの株式を一株につき76.50ドルで買収すると提案した。その少し前までCloroxは60ドル台で取引されていたので、アイカーンの提案を受けて株価が上昇したのだが、提案の前の7月11日に大量にClorox株のオプションを購入した人がいるのでFBIとSECが調査を開始した。
 



そしてアイカーンから情報をもらって取引したのではないかと疑われているうちの一人がラスベガスに住んでいるsports betto(フットボールやバスケットボールへの賭けで生活している人。アメリカにはそういう職業が存在らしい)のBilly Walters。アイカーンとはポーカー仲間で一緒にフットボールの賭けもしている。

疑われているうちのもう一人がプロゴルファーのPhil Mickelson。Waltersのゴルフ友達。

アクティビストが自分の取引に関する情報を事前にリークしているという話は以前から噂されていたようだが、
果たしてそれが違法行為なのか
という点についてははっきりしていないようだ。

アメリカ法がインサイダー取引を違法としている背景には二つの考え方がある。一つは「信任義務理論」でもう一つが「不正流用理論」だ。

信任義務理論は、会社関係者は株主のために誠実に行動する義務があり、会社の内部情報を株主以外の者(自分や知人)の利益のために利用することは株主に対する詐欺、という考え方。

不正流用理論は、TOBなどのインサイダー情報は情報所有者が独占的に使用する権利があり、その情報を伝えられた第三者が自らの利益のために使うことは、インサイダー情報の不正流用、という考え方。信任義務理論だと買収者サイドからTOB情報を得て行うインサイダー取引をカバーできないため導入された。

アクティビストがアクションを起こすという情報を事前に知ってインサイダー取引を行っているということになれば、不正流用理論が適用されそうな気がする。ただ、アクティビスト側が「ちょっと恩を売ってやろう」という気分で、取引に使われることを承知の上で情報をリークしていた場合も不正流用理論があてはまるのだろうか。不明。

しかし、よく考えたらアイカーンの会社は上場しているので、その株主に対する信任義務違反ということでこのケースは対応できるのかもしれない。切り取り方は当局がいろいろ工夫できそう。