それっぽいのというのは株式会社VOYAGE GROUP(3688)。
上場目論見書によれば、VOYAGEはもともとは株式会社アクシブドットコムという名前で、懸賞情報サイトや価格比較サイトを運営していたそうだが、オンラインアンケートや懸賞のポイント交換サイト、ネット広告など子会社を作っていろいろな事業を始め、現在では連結子会社19社からなるネットであれこれする企業集団になっている。
利益変動要因を把握しにくいコングロマリット業態のVOYAGE本体には興味がわかないが、その子会社に目を疑う高利益の会社があった。
その会社というのはグループの中でアドテクノロジー事業に分類されている「株式会社adingo」と「株式会社Zucks」の2社のこと。
どれくらいすごいのかというと2013年9月期のROEがadingoが47%でZucksが140%くらい。(※簡便計算)
これではわかりにくいので現在の上場企業でいうと、47%というのは日本の全上場企業中24位にあたり、リブセンスやカカクコムといった高収益企業を上回る。
また147%だと、全上場企業中3位にあたり、ガンホーよりもROEが高い。
なんでこんなに良いんだろう。財務情報は1期分(2013年9月期)しかなく詳細も不明だが考えてみた。
株式会社adingo
株式会社adingoは、新聞社のサイトから個人運営のサイトまで、広告媒体となるメディアの収益を最大化するためのツールであるSupply Side Platform(SSP)を、「Fluct」の商標の下で運営している。英語サイトの方では「日本一のSSP企業」と称しているが、日本語サイトの方ではそんな表現は見られないので、現在は日本一ではないのかもしれない。ただし日本上位のSSP業者であることは間違いないようだ。
adingoのROEを分解するとROAが12%(営業利益が不明なので経常利益で代用)、レバレッジが6.7倍になる。ROAは良い方だが、上場企業上位100位には入らない。つまりレバレッジを高めることによって高ROEを達成している。
株式会社Zucks
株式会社Zucksは、スマートフォン向けに「Zucks Ad Network」及び「Zucks Affiliate」というモバイル広告プラットフォームを運営している。なんだかぴんとこないがどうやら、広告の売り手(メディア)と買い手(広告主、メーカーとか)をマッチングする「市場」を運営しているようだ。
同様にROEを分解すると、ROAは34%と高い上に、レバレッジも6.8倍。この両方できわめて高いROEに結びついている。
(比較対象)FreakOut
FreakOutの事業はDemand Side Platform開発ということで違いはあるが、 アドテクノロジーの会社ということなので比較してみたい。2013年9月期はよくわからない子会社の損失で利益が悪化しているので2012年9月期と比べる。その期のROEは15.2%(上の2社と揃えて簡便計算)。ROAは23.1%でレバレッジは1.4倍。ROA自体はadingoより高くZucksより低い位置で、レバレッジが低いためにROEではadingoにも負けている。
さらにadingoとZucksのROAを分解するとマージン(売上高経常利益率)はFreakOutの半分以下になっており、adingoとZucksはFreakOutと比べて競争力が低いサービスを提供しているように思われる。それを資本回転率の高さで補っている状態。
adingoとZucksのROEの高さは
- 負債比率が高くても問題ない
- 資産が無くても売上が上がる(つまり労働集約?)
しかしこれが今後も続くのか。ちょっと危うげ。
レバレッジが高くて高ROEというと上場を延期しているHFTのVirtu Financial, Inc.と類似している。ああいう
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