2014年6月25日水曜日

アドテクノロジーって儲かるの?

FreakOutのことを調べてから、アド(広告)トレーディングのことが気になっていろいろ見ていたら、7月2日にまたそれっぽいのが上場することに気が付いた。

それっぽいのというのは株式会社VOYAGE GROUP3688)。


上場目論見書によれば、VOYAGEはもともとは株式会社アクシブドットコムという名前で、懸賞情報サイトや価格比較サイトを運営していたそうだが、オンラインアンケートや懸賞のポイント交換サイト、ネット広告など子会社を作っていろいろな事業を始め、現在では連結子会社19社からなるネットであれこれする企業集団になっている。

利益変動要因を把握しにくいコングロマリット業態のVOYAGE本体には興味がわかないが、その子会社に目を疑う高利益の会社があった。

その会社というのはグループの中でアドテクノロジー事業に分類されている「株式会社adingo」と「株式会社Zucks」の2社のこと。

どれくらいすごいのかというと2013年9月期のROEがadingoが47%でZucksが140%くらい。(※簡便計算)

これではわかりにくいので現在の上場企業でいうと、47%というのは日本の全上場企業中24位にあたり、リブセンスやカカクコムといった高収益企業を上回る。

また147%だと、全上場企業中3位にあたり、ガンホーよりもROEが高い。

なんでこんなに良いんだろう。財務情報は1期分(2013年9月期)しかなく詳細も不明だが考えてみた。

株式会社adingo

株式会社adingoは、新聞社のサイトから個人運営のサイトまで、広告媒体となるメディアの収益を最大化するためのツールであるSupply Side Platform(SSP)を、「Fluct」の商標の下で運営している。英語サイトの方では「日本一のSSP企業」と称しているが、日本語サイトの方ではそんな表現は見られないので、現在は日本一ではないのかもしれない。ただし日本上位のSSP業者であることは間違いないようだ。

adingoのROEを分解するとROAが12%(営業利益が不明なので経常利益で代用)、レバレッジが6.7倍になる。ROAは良い方だが、上場企業上位100位には入らない。つまりレバレッジを高めることによって高ROEを達成している。


株式会社Zucks

株式会社Zucksは、スマートフォン向けに「Zucks Ad Network」及び「Zucks Affiliate」というモバイル広告プラットフォームを運営している。なんだかぴんとこないがどうやら、広告の売り手(メディア)と買い手(広告主、メーカーとか)をマッチングする「市場」を運営しているようだ。

同様にROEを分解すると、ROAは34%と高い上に、レバレッジも6.8倍。この両方できわめて高いROEに結びついている。

(比較対象)FreakOut

FreakOutの事業はDemand Side Platform開発ということで違いはあるが、 アドテクノロジーの会社ということなので比較してみたい。2013年9月期はよくわからない子会社の損失で利益が悪化しているので2012年9月期と比べる。その期のROEは15.2%(上の2社と揃えて簡便計算)。ROAは23.1%でレバレッジは1.4倍。ROA自体はadingoより高くZucksより低い位置で、レバレッジが低いためにROEではadingoにも負けている。

さらにadingoとZucksのROAを分解するとマージン(売上高経常利益率)はFreakOutの半分以下になっており、adingoとZucksはFreakOutと比べて競争力が低いサービスを提供しているように思われる。それを資本回転率の高さで補っている状態。

adingoとZucksのROEの高さは
  1. 負債比率が高くても問題ない
  2. 資産が無くても売上が上がる(つまり労働集約?)
という特性により成立している。

しかしこれが今後も続くのか。ちょっと危うげ。

レバレッジが高くて高ROEというと上場を延期しているHFTのVirtu Financial, Inc.と類似している。ああいうフロントランニング的マーケットメーカー的なビジネスモデルなら負債依存度が高くてもよいようにも思えるがアドテクノロジー業界とはそんなものなのだろうか。

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